アレルギー性結膜疾患とは
アレルギー性結膜疾患とは目に起きるいろいろなアレルギー疾患の総称です。
アレルギーには、アレルギー性鼻炎、気管支喘息、アトピー性皮膚炎などがあります。からだの中で、それぞれ病気の起こる部分はさまざまですが、そのメカニズムはほぼ共通です。アレルギーは、からだに外から異物が入ってきたときに起こる「免疫反応」の一つですが、細菌やウイルスなどの病原微生物に対して生じる反応との大きな違いは、本来無害なものに対してからだが過剰に反応したものがアレルギーであるということです。例えば、スギやブタクサの花粉はそれ自体に毒性があるわけではないのですが、飛び散った花粉が目や鼻から体内に入ると、それにからだの中の「好酸球」という白血球の仲間の細胞が反応して、かゆみやくしゃみなどのアレルギー反応を起こす粒を血液の中に放出してアレルギー特有のいろいろな症状が現れてきます。
花粉症は目以外の部分にもアレルギー性鼻炎などの症状が現れますが、目は非常にアレルギーの症状の出やすい場所です。それにはいくつかの理由が考えられ、第一には結膜という部分は直接外界に接しており、抗原が入りやすいことです。
アレルギーの原因はまだ分からないことが多いのですが、最近の大きな環境の変化、例えばディーゼルエンジンによる大気汚染や密閉した住まいにダニが増えていることなどが原因ではないかと考えられています。また、アレルギーになりやすい体質は遺伝しやすいこともよく知られています。目はアレルギーが起こりやすい臓器です。目のかゆみやゴロゴロする感じ(異物感)が主な症状で、涙が出たり、目やにが出ることもあります。非常に症状が強い場合には、仕事や学校などの日常生活にも支障を来すことがあります。近年増加しているアトピー性皮膚炎に合併する目のアレルギー性炎症は、視力を侵す場合もあり、しばらくすれば治るとばかりはいえないものもあり、注意が必要です。
アレルギー性結膜疾患の症状
目のアレルギーの症状としては、かゆみがもっとも代表的なものです。目そのものがかゆく感じる場合もありますが、まぶたやまぶたのふちなどの部分に特にかゆみが現れやすく、かけばかくほど症状が強くなることもあります。これは、アレルギー反応の特徴ですので、適切な治療によってかゆみを止めることが必要です。
次に多いのは「異物感」。ごろごろした感じ、というものです。アレルギーの反応によってまぶたの裏側の結膜に粒状のもりあがりができますが、これが、まばたきの際に黒目(角膜)と接触することによって生じる症状です。小さなゴミが入ったように感じることもあります。場合によっては黒目に傷がつくこともあります。涙もよくみられる症状です。一般的に、ある季節に毎年起きること、程度の差はあっても両方の目に生じることもアレルギー性結膜疾患の特徴です。重症例では、さらに角膜の合併症によって目に痛みを生じたり、角膜の濁りのためにものが見えにくくなる状態(視力低下)を引き起こすこともあります。角膜の混濁のなかには治療を行ったにもかかわらず、白い濁りが残ることもあります。
アレルギー性結膜疾患の治療
目のアレルギーの治療には抗アレルギー薬という薬が、主として用いられています。これは、アレルギー反応の中で、かゆみやくしゃみなどを引き起こす指令を伝える物質が細胞から血液に出てこないように抑える薬です。
通常、目薬として使用します。症状が強い場合は、副腎皮質ステロイド薬も用いられることがあります。ホルモンの薬である副腎皮質ステロイド薬は、適切に使用すればとてもすぐれた薬ですが、目に緑内障などの副作用が現れることがあるので、使用にあたっては注意が必要です。